私らしいシンプルライフ

インテリアが好き。ミニマリストは無理だけどシンプルに暮らしたい。

太宰治 『斜陽』から

先日に引き続き、太宰治

斜陽 (新潮文庫)

斜陽 (新潮文庫)


『斜陽』から抜粋

待つ。ああ、人間の生活には喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろな感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの1パーセントを占めているだけの感情で、あとの99パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。幸福の足音が廊下に聞こえるのを、今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。ああ人間の生活ってあんまりみじめ、生まれて来ない方がよかったとみんなが考えているこの現実。そうして朝から晩まではかなく何かを待っている。みじめすぎます。生まれて来てよかったと、ああ、いのちを人間を世の中をよろこんでみとうございます。



この本も30年ほど前に読みました。

当時、この「待つ」という感覚が、すんなり私の中に入ってきて、すごく納得した事を覚えています。
人生の99パーセントは待っている。
月曜日には週末がくるのを待ち、週末には何かいい事ないかなと待つ。そうして、いつの間にか、あっという間に人生が終わってしまう。
このうやむやだった感覚を、文章で描いてしまう太宰治、改めて、凄いな。



今日もいい1日でありますように。