太宰治 『斜陽』から
先日に引き続き、太宰治
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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『斜陽』から抜粋
待つ。ああ、人間の生活には喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろな感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの1パーセントを占めているだけの感情で、あとの99パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。幸福の足音が廊下に聞こえるのを、今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。ああ人間の生活ってあんまりみじめ、生まれて来ない方がよかったとみんなが考えているこの現実。そうして朝から晩まではかなく何かを待っている。みじめすぎます。生まれて来てよかったと、ああ、いのちを人間を世の中をよろこんでみとうございます。
この本も30年ほど前に読みました。
当時、この「待つ」という感覚が、すんなり私の中に入ってきて、すごく納得した事を覚えています。
人生の99パーセントは待っている。
月曜日には週末がくるのを待ち、週末には何かいい事ないかなと待つ。そうして、いつの間にか、あっという間に人生が終わってしまう。
このうやむやだった感覚を、文章で描いてしまう太宰治、改めて、凄いな。
今日もいい1日でありますように。